- そもそも個人事業主の経費とは
- 個人事業主の経費計上Q&A
- Q.車や家の家事按分の比率は?
- Q.食費は?
- Q.所得税、住民税は?
- Q.個人事業税は?
- Q.事業で自宅を使っている場合の家賃は?
- Q.自宅兼事務所の引越しをする場合の引越し費用は?
- Q.スマホの料金は?
- Q.自宅を事業で使っている場合の水道料金は?
- Q.ベッドや布団などの日用品を購入した費用は?
- Q.Suicaなどの電子マネーで払った交通費は?
- Q.プライベートと事業の両方で使っている車のガソリン代は?
- Q.スーツは?
- Q.メガネやコンタクトは?
- Q.アクセサリーは?
- Q.取引先との忘年会の費用は?
- Q.講演会参加費は?
- Q.ジムの会費は?
- Q.個人事業主の健康診断や人間ドックの費用は?
- Q.生命保険料は?
- Q.自宅兼事務所に置いた観葉植物の費用は?
- Q.自宅兼事務所に設置した空気清浄機の費用は?
- Q.事務所・店舗補修のDIYで板を買って補修した費用は?
- Q.仕事で怪我して病院で支払った治療費は?
- Q.ドラッグストアで湿布やサプリメントを購入した費用は?
- Q.PCR検査を受けたときの費用は?
- Q.夫婦で旅行に行き、ホテルに宿泊した費用は?
- まとめ:事業のためであれば経費として申請できる場合が多い
そもそも個人事業主の経費とは
経費とは、事業で発生した支出のことです。事業のためにかかった費用が多く、経費が増えると、課税対象となる所得が減り、所得税などの税額も減少します。
この記事では、
疑問点の多いことをQ&Aのカタチでわかりやすく説明していきますので
最後までご覧になってください。
前提として、白色申告も青色申告も経費に関しての捉え方に大差はないものとします。
個人事業主の経費計上Q&A
それでは、Q&Aを1つ1つチェックしていきましょう。前提条件として、それぞれの支出について、その業務に必要なものでなければなりません。
Q.車や家の家事按分の比率は?
A.家事関連費は、その事業部分を明らかに区分できる場合に、その部分を費用にできるとしています。
例えば、車の場合は全体の走行距離のうち仕事で走った距離分、家の場合は家全体の床面積のうち仕事で使っている部屋の面積分の割合を比率とする方法があげられます。
Q.食費は?
A.ケースバイケース
食費については、個人的なものと事業に関係するものの線引きが難しく、ケースバイケースで判定せざるを得ないのです。
特に疑問点が多いので詳しく説明します。
勘定科目で認識する
(1) 会議費
会議や打ち合わせ、話し合いをすることを目的として、従業員や取引先と食事をする場合の食費です。
一般的にはお酒が入ることはありません。
ここで勘違いしやすいことは、
コンビニで昼食のお弁当を買ってきたような場合は、仮に仕事中であっても経費にはなりません。
食事をとるという行為自体は、事業のために行うわけではなく、誰もが行う行為であるためです。
したがって、コンビニでお弁当を買うことは、生活費を支払っていることと変わりはないのです。
(2) 交際費
取引先や従業員といった事業に関係のある人と、接待や情報交換を目的として食事をする場合の食費です。
(3) 福利厚生費
働く人全員で行う忘年会や慰労会など、事業主がすべての従業員のために支払う食費です。特定の従業員のみというケースは会議費にあたります。
従業員がいない個人事業主の場合は、基本的に福利厚生費は発生しません。
(4) 旅費交通費
出張した際に朝食付きのホテルに宿泊する場合などは、その食事代も旅費交通費に含まれます。
ただ、通常の食事代を旅費交通費に計上することはなく、例外的な処理と考えることができます。
食費を支払ったお店や金額を明確に
1つめのポイントは、食事代を支払ったお店の名前や場所、そして支払った金額などをはっきりしておくことです。
通常は支払の際にレシートをもらいますが、領収書も合わせてもらうようにしておきましょう。
そして、領収書やレシートは確実に保管しておくようにしましょう。
仮に税務調査が行われた際に、この領収書などを紛失してしまったのでは意味がありません。
誰と何のために行った食事かを明確に
2つめのポイントは、誰と何のために食事に行ったのかを明らかにしておくことです。
経費として認められるためには、事業に関係するものであることが説明できるようにしておく必要があります。
税務調査の際には、そのような内容を説明できるよう、領収書の裏に誰といったのかを記載しておくようにします。
また、会議を行った場合にはその議事録や何を話し合ったのかがわかるよう、領収書と一緒に保管しておきましょう。
Q.所得税、住民税は?
A. ✖
所得税や住民税、加算金や駐車違反などの罰金は経費になりません
Q.個人事業税は?
A. 〇
ある程度利益がでると支払うことになる個人事業税。これに加えて、事業利用資産の固定資産税、自動車税、登録免許税、印紙税も経費に含まれます。
Q.事業で自宅を使っている場合の家賃は?
A. 〇(一部)
一般的に、自宅の家賃は経費になりませんが、事業で自宅を使用している店舗併用住宅などの場合には、その一部を経費にできます。経費にできるのは、あくまで仕事で使っている部分の家賃のみです。仕事で使っている部分の家賃は、面積で判断します。
自宅の面積のうち、仕事場など、実際に仕事で使っている部分の割合に応じて経費とします。例えば自宅のうち5割を仕事場に使用している場合は家賃の5割が経費になります。
Q.自宅兼事務所の引越しをする場合の引越し費用は?
A. 〇(一部、条件付き)
自宅兼事務所の引越しをする場合は、引越し費用の一部を経費にできます。経費にできる金額は、自宅のうち仕事で使っている部分の割合になります。なお、礼金も同様です(敷金はそもそも経費ではないため含みません)。
ただし、引越し費用のうち仕事である部分を明らかに区分できる場合に限ります。
Q.スマホの料金は?
A. 〇(一部)
仕事で使うスマホの料金は、経費にできます。仕事だけでなく、プライベートでも使っている場合は、仕事で使用した部分のみ経費になります。この場合にも、明らかにプライベートと仕事が区分できることがポイントです。
Q.自宅を事業で使っている場合の水道料金は?
A. 〇(一部)
事業で使っている水道の費用は経費にできます。水道代だけでなく、電気代やガス代も、事業で使っている分を経費にすることができます。この場合にも、明らかにプライベートと仕事が区分できることがポイントです。
Q.ベッドや布団などの日用品を購入した費用は?
A.ケースバイケース
自らが利用するベッドや布団などの日用品は、原則経費にはできません。ただし、明らかに仕事でしか使わないと認められる日用品は、経費になります。仮眠室用に専用として置くケースなどが考えられます。
Q.Suicaなどの電子マネーで払った交通費は?
A. ◎
Suicaなどの電子マネーで支払った交通費は、経費にできます。ただし原則、経費にできるのはチャージしたうち実際に事業に利用した分のみとなるので、利用履歴を印刷し、利用目的を明らかにしておくなどの対策が必要です。
1/1に10,000円Suicaにチャージ
1/15に8,000円交通費として使う。 ← 1/15時点で経費計 上できる。
え、10,000円使ってるのに経費8,000円なの?
簿記では
1/1 仮払金 10,000 / 現金 10,000
1/15 交通費 8,000 / 仮払金 8,000
1/15時点で仮払金という資産勘定が2,000残るという形になります。
Q.プライベートと事業の両方で使っている車のガソリン代は?
A. 〇(一部)
仕事で使ったガソリン代は、経費にできます。ただし、プライベートで使った部分は経費になりません。そのため、走行距離などの適切な割合で、事業で使ったガソリン代を計算します。割合の算出は、実測に基づいた資料をもとに行います。
走行距離を基に事業利用分を計算する場合は、例えば、期間中の総走行距離が100Kmでその内の50Kmが事業で使った場合は、50/100=50%のみ経費計上が可能となります。
Q.スーツは?
A.ケースバイケース
一般的にスーツ代は経費になりませんが、職務上に必要な場合などは、経費にできることもあります。スーツは、プライベート用と仕事用の区別が明確につきづらいものです。取引先でのスーツ着用が常態化している、セミナーなどでのスーツ着用を余儀なくされるなど、業務上スーツが必要な場合において、一部認められる可能性はあります。
Q.メガネやコンタクトは?
A. ✖
経費にできません。仕事以外でも使うことがあり「業務だけに特化して使う」と判断するのが難しいからです。スーツ同様に普段使うことがあるという理由です。ただし、医師による治療のためのメガネの購入(遠視矯正など)費用であれば、経費にならなくても医療費控除の対象となります。
Q.アクセサリーは?
A. ✖
原則、自ら身につけるアクセサリーは経費にできません。ただし、職種によって特にファッション関係の仕事をしているなど、どうしても仕事でアクセサリーが必要な場合は、経費にできるケースもあります。
Q.取引先との忘年会の費用は?
A. 〇 ただし・・・
取引先との忘年会でかかった費用は、通常交際費として経費にできます。ただし、一般的に認められるのは一次会の費用までです。
Q.講演会参加費は?
A. 〇
仕事に関係する講演であれば、参加費は経費にできます。セミナーだけでなく、仕事に関する書籍や雑誌などの購入費も経費計上できます。
Q.ジムの会費は?
A. ✖
本人や家族が使うジムの会費は、経費にできません。
従業員がいる場合で、従業員全員が使うことのできるジムの会費は、「福利厚生費」として経費にできます。
Q.個人事業主の健康診断や人間ドックの費用は?
A. ✖
本人や家族が受ける健康診断などの費用も、経費にできません。従業員がいる場合で、従業員全員が受ける健康診断の費用は、経費にできます。
Q.生命保険料は?
A. ✖
個人事業主の生命保険料は、経費にできません。これは、生命保険料は経費ではなく、確定申告時に生命保険料控除の対象となっているためです。二重計上を防ぐといった意味合いとなります。
Q.自宅兼事務所に置いた観葉植物の費用は?
A.ケースバイケース
事業用の目的で購入したのであれば、観葉植物を経費にできます。ただし、来客用として仕事場に置くなど、明確な理由が必要となるので注意しましょう。
Q.自宅兼事務所に設置した空気清浄機の費用は?
A.ケースバイケース
仕事で必要と認められる場合のみ、経費にできます。例えば、製造業で作業場に空気清浄機が必要とされる場合などは、明らかに仕事で利用しているため経費になります。
Q.事務所・店舗補修のDIYで板を買って補修した費用は?
A. 〇
仕事に直接関係する費用であるため、経費にできます。
Q.仕事で怪我して病院で支払った治療費は?
A. ✖
本人の怪我の治療費は、経費にできません。一定額以上の支払がある場合は「医療費控除」の対象になります。
仕事でケガ = 労災 = 会社負担 というイメージが強いですが個人事業主は別物と捉えられています。
Q.ドラッグストアで湿布やサプリメントを購入した費用は?
A. ✖
一般的に、湿布やサプリメント費用は経費にできません。ただし、その医薬品がセルフメディケーション税制の対象であれば、通常の医療費控除との選択適用により控除の対象となります。
Q.PCR検査を受けたときの費用は?
A.ケースバイケース
業務をする上で必要なPCR検査に限り、経費にできます。例えば、得意先へ行く際にPCR検査を求められる場合などです。ただし、観光に行くなど、プライベートで必要なために受けたPCR検査は経費にできません。
Q.夫婦で旅行に行き、ホテルに宿泊した費用は?
A. ✖
一般的に、家族旅行としての費用は経費にできません。
まとめ:事業のためであれば経費として申請できる場合が多い
費用が経費にできるかどうかの判断基準は、仕事で必要かどうかによります。経費に正しく入れることができれば、結論利益の把握にもつながりますし、良い影響しかありません。
これを機会に経費になる・ならないを見直してみてはいかがでしょうか?
ここまで読んでくださりありがとうございました。
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